AIでオリジナルアイテムを生み出す、新しいアバター体験──『ポケコロユニバース』開発の裏側
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2026年8月12日
2026年3月、累計4,000万人に支持されるポケコロシリーズの新作『ポケコロユニバース』がリリースされました。

その開発では、既存IPの世界観を守りながら、新しい遊び方を一から設計しました。本記事では、AIアイテムメーカーの開発背景や、0→1のプロダクトづくりで直面した課題について、開発リーダーに話を聞きました。
これまでのご経験について、簡単に教えてください。
情報系の学校を卒業後、IT企業でWebアプリケーション開発を経験し、その後ゲーム開発へ転身しました。現在はUnityを用いたゲーム開発で開発リーダーを務め、実装に加え、チームマネジメントや設計も担当しています。
──ENSAPIA Engineeringへの入社を決めた理由を教えてください。
当時から「新しい技術やサービスに積極的にチャレンジできる会社」という印象があり、自分も新しい価値づくりに携わりたいと思い、入社を決めました。
まず、「ポケコロユニバース」(以下、ポケユニ)はどのような背景から生まれたのでしょうか?
「ポケユニ」は、既存のポケコロIPを活かしながら、新しい体験を提供するために生まれたプロダクトです。IAM※の考え方を軸に、アバターを通じた新しいコミュニケーションや遊び方を実現することを目指しました。
エンジニアとしても、機能開発だけでなく、世界観やコミュニティ体験まで設計できる点が、このプロジェクトならではの面白さだと感じています。
※IAMとは、「Identity in Avatar Metaverse」の頭字語であるとともに、英語の「I AM…」、すなわち自分自身をどのように定義するかという意味を込めた言葉です。アバターを通じて、年齢や性別、国籍、文化などの制約にとらわれず、自己表現できる居場所を提供するという、ENSAPIAグループのサービス思想を表しています。
立ち上げ初期、ほぼ何もない状態からどのように開発を進めていきましたか?
ポケユニはゼロベースでの開発だったため、まずは「何を優先して作るか」を整理するところから始めました。既存タイトルの仕組みはUnityのバージョンが異なり流用できなかったため、基盤から設計し直しています。
一方で、ポケコロシリーズは長年多くのお客様に親しまれてきたサービスです。そのため、新しいプロダクトでありながらも、「これまでの世界観や操作感、期待していただいている体験を損なわないこと」、「ポケユニならではの表現や拡張性」も意識しながら、設計と実装を進めていきました。
例えば、AIを活用したアイテム制作機能「AIアイテムメーカー」や、ボイス・チャットによるリアルタイムコミュニケーションなど、新たな表現や交流の仕組みを実現しています。こうした機能を今後も拡張していけるよう、将来の発展性を見据えたアーキテクチャを意識して設計しました。
プロダクトの方向性を決める上で、一番悩んだポイントは何でしたか?
最も悩んだのは、開発スピードとユーザー体験の品質をどのように両立するかという点です。
新規プロダクトでは、できるだけ早く形にして市場へ届けることも重要ですが、アバターサービスとしてのクオリティや世界観を妥協することはできません。そのバランスをどこで取るのかは、プロジェクト全体を通して何度も議論を重ねました。
また、「企画側のアイデアや届けたいものを技術的にどう実現できるか?」を常に考えています。
企画やデザイナーなど各職種と密にコミュニケーションを取りながら、お客様にとってより良い体験になるよう開発を進めていきました。

AIアイテムメーカーはどのような経緯で生まれた機能なのでしょうか?
AIアイテムメーカーは、「お客様にどのような価値を提供できるか」を起点に企画・開発された機能です。
構想が始まったのは2024年頃で、ChatGPTをはじめとする生成AIの活用が広がり、Stable DiffusionやMidjourneyなども注目を集めていた時期でした。
市場や競合サービスを分析する中で、「時間をかけてでも、自分だけのかわいいアイテムやアバターを作ってみたい」という強いニーズが、ターゲット層にあることが見えてきました。
しかし、従来のアイテム制作には専門的な知識や制作コストが必要で、誰もが気軽に楽しめるものではありませんでした。
そこで、これまで弊社が培ってきたアバターサービスの知見と生成AIを組み合わせることで、「お客様自身がクリエイターとなり、新しい表現を楽しめる体験を実現できるのではないか」と考え、AIアイテムメーカーの開発が始まりました。
また、ENSAPIAグループではAIを活用した開発やサービスづくりを積極的に推進しており、「AIをどのようにサービス価値へつなげられるか」「いかにAIを駆使してサービス展開できるか」についても、検討を重ねていました。その取り組みの一つとして生まれたのが、AIアイテムメーカーです。
実際に開発してみて、技術的に難しかった点はどこでしたか?
技術的に難しかったのは「AIで自由に生成できること」と、「サービスとして安全に提供すること」のバランスですね。
AIアイテムメーカーでは、単に画像を生成できればよいわけではありません。著作権や不適切・センシティブな表現など、生成AIならではのリスクがあります。
そこで、入力内容と生成結果を複数の観点から確認できるよう、ガイドラインや制御の仕組みを設け、リスクを抑えながら提供できる形を検討してきました。
一方で、制限を厳しくしすぎると、「自由に作る楽しさ」が減ってしまうので、「安全性」と「自由度」のバランスを開発チーム内で何度も議論を重ね、試行錯誤を繰り返しました。
単にAI機能を実装するだけではなく、「サービスとして継続的に運用できる形に落とし込む」難しさが大きかった印象がありますね。

開発の中で、AI自体を使って開発を進める場面もありましたか?
ENSAPIA Engineeringでは、AIを開発プロセスのパートナーとして活用する「AI Centric※」という考え方を掲げています。
ポケユニの開発でも、コードベースの解析、影響範囲の調査、設計の検討、実装後のAIレビューなどにAIを取り入れてきました。AIが出した結果をそのまま採用するのではなく、人によるレビューと組み合わせることで、判断の精度や開発スピードを高めるようにしています。
また、チーム内で活用例や失敗例を共有しながら、日々の開発フローに取り入れています。
※AI Centricとは、戦略・プロセス・文化の中心にAIを据え、開発や意思決定に活用していく考え方です。AIを単なる補助ツールではなく、調査、設計、実装、レビューの各段階で活用するパートナーとして位置づけています。
立ち上げの中で、一番苦しかった瞬間は何でしたか?
最も苦しかったのは、ゼロベースでプロダクトを立ち上げたことです。既存タイトルの仕組みを流用できず、多くの機能を基盤から構築する必要がありました。
当時は現在ほど生成AIを開発フローに取り入れられず、品質とスピードの両立が大きな課題でした。その後、AIを活用できるようになってからは、調査・実装・検証のサイクルが大幅に高速化し、0→1開発をよりスピーディーに進められるようになりました。
リリース後、想定していなかったアプリの使い方や反応はありましたか?
特に印象的だったのは、AIアイテムメーカーで作ったアイテムやコーディネートを、お客様がXで積極的に投稿し、それが新たなコミュニティとして広がっていったことです。
Xで作ったアイテムを見せ合ったり、それをきっかけに新しくアプリを始める方がいたりと、お客様同士で新しい楽しみ方が自然に生まれていく様子は、私たちにとってもうれしい驚きでした。
また、AIアイテムメーカーは想定を上回る利用があり、当初の構成では生成処理の需要に十分対応できない場面もありました。インフラチームと連携してGPU環境を拡張するなど、実際の利用状況に合わせて運用体制を見直していきました。
開発側としては大変でしたが、それだけ多くのお客様に楽しんでいただけていることを実感できた出来事でした。
このプロジェクトの中で、「やっていてよかった」と感じた瞬間は?
一番やりがいを感じるのは、新しいことに挑戦し続けられる環境があることです。
特にポケユニは0→1の開発だったので、「どんな体験を届ければ、お客様に楽しんでいただけるのか」をチームで常に考えながら開発を進めてきました。
私自身も、「次はどんな体験を提供できるだろう」「このアイデアをどう形にしよう」と考える時間がとても楽しく、まだ実現したいアイデアがたくさんあります。
また、リリース後には、お客様からの反応や「楽しんでもらえている」という声がチーム内でも継続的に共有されていて、それがメンバー全体のモチベーションにも繋がっていると感じています。
特に、開発して終わりではなくて、実際にお客様に遊んでいただき、その反応をもとにさらに改善を重ねながら、より良い体験をつくっていけることが、このプロジェクトならではの大きなやりがいだと感じています。
これから新規開発やAI領域に挑戦したいエンジニアへメッセージをお願いします。

AI領域の進化は非常に速く、少し前までは難しかったことが、今では当たり前のように実現できる時代になっています。
私たちの現場でも、生成AIを調査・実装・検証などに活用する場面が増え、開発の進め方そのものも少しずつ変わってきています。
新規開発やAI領域は、まだ答えが決まっていないことも多いので、大変な部分もありますが、その分「まずやってみる」「試してみる」ことがとても大切だと思っています。
ポケユニでも、実際に作ってみながら改善していくことの繰り返しでしたし、その中でお客様に楽しんでいただけた時は、「やっていてよかったな」と感じますね。
弊社は新しい技術や表現に挑戦できる環境ですし、「こういう体験を作ってみたい」というアイデアを形にできる面白さもあるので、そういったことを楽しめる方とは、ぜひ一緒にものづくりができたら嬉しいです!
AIとアバターを組み合わせた新しい遊び方を、私たちと一緒に形にしてみませんか。